お役立ち情報02

戸建ての資産価値

戸建てとマンションはどっちが得?
資産価値・費用・住み心地の違いを比較

戸建てとマンション、どちらを選ぶべきか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。本記事では、費用・資産価値・住み心地などの観点から両者を比較していきます。

また、首都圏の住宅購入予定者への意識調査の結果も交えながら、ライフステージ別の選び方や後悔しないための判断ポイントまで解説しました。自分に合った住まいを見極めるヒントとして、ぜひお役立てください。

戸建てとマンション、
購入前に知りたい7つの違い

戸建てとマンションのどちらを選ぶかを考えるにあたり、比較すべきポイントは多岐にわたります。本記事では「費用」「資産価値」「住環境」「管理」「立地」「安全面」「需要」の7つの観点から、両者の特徴を整理しました。

比較ポイント マンションの傾向 戸建ての傾向
費用 首都圏では物件価格は割高なことが多く、管理費や修繕積立金が毎月発生する。 物件価格は割安な傾向があり、修繕費は自分で計画的に準備する必要がある。
資産価値 立地条件が良ければ価値を維持しやすい。 建物の価値は下がりやすいが、土地の価値が資産として残る。
住環境 専有面積は比較的コンパクトで、上下階の音が気になる場合がある。 広い空間や庭を確保しやすく、プライバシーを守りやすい。
管理 共用部分の管理を管理会社に任せられるため、手間がかからない。 メンテナンスや修繕の計画・手配をすべて自分で行う必要がある。
立地 駅に近いなど、利便性の高い物件の選択肢が多い。 郊外に立地することが多く、駅からは離れる傾向がある。
安全面 オートロック等の防犯設備が充実し、耐火性や耐震性も高い傾向にある。 防犯対策は基本的に自己責任となり、別途セキュリティ契約などを検討する。
需要 幅広い層からの需要が見込め、売却や賃貸に出しやすい。 主にファミリー層から安定した人気がある。

戸建てとマンションの「費用」を生涯コストで比較

マイホーム購入は物件価格だけでなく、入居後に発生する維持費を含めた「生涯コスト」で比較することが重要となります。

ここでは、購入時の「初期費用」(物件価格+諸費用)と、居住中にかかる「維持費」(ランニングコスト)の2つの側面から、どちらが自分たちの予算や資金計画に合っているかを判断するための材料を紹介します。

購入時にかかる初期費用の違い

不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向2024年度」によると、首都圏新築マンションの平均価格は8,135万円と過去最高を更新しました。さらに、東京23区に限れば平均1億1,632万円に達しています。

一方、東京カンテイの調査では、首都圏新築一戸建て住宅の平均価格は約4,800万円で推移しており、同じエリアで比較すると戸建ての方が割安な傾向にあります。

諸費用は物件の種別によって異なり、新築マンションでは物件価格の3~5%程度が目安です。これに対し、新築戸建ては6~9%程度、中古物件になると仲介手数料が加わるため、中古マンションで5~8%、中古戸建てで6~10%程度が相場となっています。

また、新築マンションでは修繕積立基金(20~80万円程度)が必要になる一方、戸建てでは水道負担金(地域により3~20万円程度、地域差が大きい)が発生するケースもあるため、事前に確認しておくことが大切です。

居住中にかかる維持費(ランニングコスト)の違い

マンションでは毎月、管理費(1~2万円程度)と修繕積立金(1~2万円程度)が発生し、駐車場を利用する場合は駐車場代(都心部では月2~5万円)も加算されます。これらの費用は長期にわたって継続的に支払うことになるため、30年間で1,000万円を超えることもあるでしょう。

戸建ての場合、管理費や駐車場代は不要ですが、将来の修繕費用を自分で計画的に積み立てる必要があります。外壁塗装や屋根の補修など、10~15年ごとに100万円単位の出費を見込んでおくべきでしょう。

固定資産税は、マンション(RC造)の方が建物の耐用年数が長く評価額が下がりにくいため、建物部分の税負担が長期間続きます。一方、戸建て(木造)は建物評価額の下落が早い反面、土地を単独所有するため土地部分の税負担が大きくなる傾向があります。

光熱費については、マンションは気密性・断熱性が高いため抑えやすい傾向がありますが、最近はZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)対応の高性能な戸建ても増加しています。

戸建てかマンションか?
「資産価値」の将来性を
徹底検証

住宅購入において「資産価値」を重視する人が増えています。

弊社が首都圏の住宅購入予定者を対象に実施した調査結果をもとに、戸建てとマンションの資産価値についてさまざまな面から検証していきましょう。

【調査概要】

  • ● 対象:首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)在住、20~59歳、年収700万円以上、5年以内に新築戸建住宅購入を検討している方
  • ● 方法:WEB調査
  • ● 回答者(条件適合者):807名/スクリーニング回答:13,121名(出現率:6.2%)
  • ● 調査日程:2025年8月19日~9月2日

首都圏の購入予定者の8割超が「資産価値」を重視

弊社が実施した調査において、戸建て住宅購入予定者の81.7%(「非常に意識する」33.0%+「どちらかというと意識する」48.7%)が資産価値を重視していることがわかりました。

図1|資産価値意識の構成比
図1|資産価値意識の構成比

特に30〜40代の高収入層でその傾向が顕著であり、年収が上がるほど「非常に意識する」比率も高まっています。1,000万円台で36.9%、2,000万円台で40.5%、3,000万円以上では44.2%という結果となりました。

図2|年収帯別「非常に意識する」比率
図2|年収帯別「非常に意識する」比率

この調査により、今後の住宅購入における主力層が、資産価値を標準的な尺度として住宅選びをしていることが確認できます。

マンション高騰と「土地」が残る戸建ての価値

近年の首都圏マンション市場は、海外投資マネーの流入や円安を背景に、実需層の負担能力を超えた「金融商品化」が顕著になっています。タワーマンションからの住み替えや、価格高騰によりマンションを諦めた層が、割安感や購入までの手間が少ない時間効率の良さ(タイムパフォーマンス)から、戸建て(建売住宅)を選択する動きも見られるようになりました。

ここで押さえておきたいのが、マンションと戸建ての資産構造の違いです。マンションは土地を「共有」する資産であるのに対し、戸建ては土地を「専有」する資産という根本的な違いがあります。

地価上昇局面や長期的な視点では、所有できる土地面積が広い戸建ての方が、資産価値として下がりにくいという強みがあることも念頭に置いておくべきです。

短期転売か、長期的な満足か?「住み続ける」資産価値

土地の価値に加え、戸建ての資産価値を考える上では、短期的な転売(リセールバリュー)とは異なる視点も重要になってきます。例えば、戸建ては、ライフステージの変化に合わせてリフォームや増改築ができる、自由度の高さを持っているのが大きな特徴です。

この自由度が満足して住み続けることを可能にし、暮らしそのものを資産化するという価値観につながっていきます。さらに、こうした長期的な価値は子どもにも引き継げる資産となり得ます。短期的な転売益だけでなく、住み続けられる満足度も資産価値の一つと捉えることができるでしょう。

戸建てとマンション、毎日の
「暮らしやすさ」を徹底比較

費用や資産価値だけでなく、日々の生活における「住み心地」や「利便性」もマイホーム選びの重要な要素です。ここでは、住環境(広さ・プライバシー)、管理の手間、利便性、セキュリティなど、ライフスタイルに直結する項目を比較していきます。

家族構成や優先したいポイントによって評価は変わるため、それぞれの項目で戸建て・マンションの違いを確認しておきましょう。

住環境(広さ・プライバシー・防音性)

前述の弊社調査では、戸建てとマンションを「価格」「広さ」「利便性」「防犯」「災害」など11項目で比較評価してもらいました。(戸建て・マンションとも購入検討中と回答した方を対象)

その結果、「自由度・広さ・快適性(プライバシー)」という点において、戸建てが明確に優位と評価されています。

「広さ」については、同じ予算なら戸建ての方が広い床面積を確保しやすい傾向にあります。庭やガレージを含めれば、生活空間の自由度は大きく広がるでしょう。

「プライバシー・防音性」という観点では、戸建ては上下階の音を気にせず、庭での活動も楽しめるメリットがあります。一方、マンションは窓を閉めた際の遮音性が高いものの、上下左右の生活音に配慮が必要な点は押さえておきたいところです。

管理・メンテナンスの手間

マンションは管理費・修繕積立金を支払うことで、共用部分の清掃や計画的な大規模修繕を管理会社(管理組合)に任せられる手軽さがあります。忙しい共働き世帯にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

一方、戸建ての場合、日常の清掃や将来の修繕(外壁、屋根など)をすべて自分で計画・手配する必要があります。ただし、その分タイミングや内容を自由に決められると考えることもできます。

弊社調査では、「維持管理」においても戸建てが優位と評価されました。この結果から、管理を自分で行う手間よりも、管理費・修繕積立金がかからないコストメリットが評価されている可能性がうかがえます。

リフォーム・カスタマイズの自由度

戸建ては法律の範囲内で増改築やリフォーム、DIYが自由にでき、ライフスタイルの変化(子ども部屋を増やす、書斎を作るなど)に柔軟に対応できることが最大のメリットと言えます。

戸建ては、その自由度こそが、前述の「暮らしを資産化する」という長期的な価値観にも繋がっていると言えるでしょう。

マンションでも専有部分のリフォームは可能ですが、管理規約により、水回りの移動不可、壁の撤去不可、窓・玄関ドアは共用部分で変更不可など、さまざまな制限があります。

立地・利便性・共用施設

立地・利便性について、一般的にマンションは駅近など利便性の高い立地に建てられることが多く、通勤・通学や買い物の面で有利な傾向にあります。一方、戸建ては郊外で駅から離れる傾向にありますが、その分敷地にゆとりがあり、駐車スペースを確保しやすいというメリットがあります。

また、近年はテレワークの普及などライフスタイルの変化により、「駅近=利便性が高い」という従来の価値観も変わりつつあります。通勤頻度が減った世帯にとっては、駅からの距離よりも住環境の快適さを優先するケースも増えてきました。

共用施設・ゴミ出しについて、24時間ゴミ出し可能なゴミ置き場や宅配ボックス、キッズルーム、ゲストルームなどはマンションならではのメリットです。共働きで多忙な方には大きな魅力となるでしょう。ただし、これらの共用施設は管理費に反映されるため、利用頻度と費用のバランスを考慮することも大切です。

セキュリティ・防災面

「セキュリティ(防犯性)」については、オートロックや防犯カメラ、有人管理など、マンションの方が設備が充実している傾向があります。侵入窃盗の発生場所別認知件数を見ても、一戸建て住宅が29.0%を占めるのに対し、共同住宅は3階建以下で6.8%、4階建以上で約3.7%と差が見られます。

出典:警察庁|住まいる防犯110番 データで見る侵入犯罪の脅威
出典:警察庁|住まいる防犯110番 データで見る侵入犯罪の脅威

「防災面」について、マンションは鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が主流で、耐震・耐火性に優れた構造となっています。近年は免震・制震装置を備えた物件も増えており、地震への備えという点では安心感があるでしょう。ただし、高層階に住む場合は、災害時にエレベーターが停止するリスクも考慮しておく必要があります。

一方、戸建ても耐震性能を向上させた設計にすることで、建物の安全性を高めることが可能です。防犯面では、ホームセキュリティの導入や防犯カメラの設置など、自分で対策を講じることもできます。

弊社調査では、「防犯」「災害」の評価はほぼ拮抗しており、戸建てがわずかに優位という結果でした。設備面ではマンションが有利に見えますが、戸建ても対策次第で同等の安心感を得られると評価されているようです。

ライフステージ・家族構成別!
あなたに合うのはどっち?

マンションか戸建てかの選択は、現在の家族構成や将来のライフプランによって最適解が異なります。

「DINKS・夫婦のみ」「子育て世帯」「シニア世代」の3つの代表的なライフステージ別に、それぞれのニーズをふまえ、戸建て・マンションが向いているかを見ていきましょう。

20~30代のDINKS・共働き夫婦の場合

通勤利便性や管理の手軽さ、セキュリティを重視する傾向が強いこの世代には、駅近のマンションが適している場合が多いでしょう。共働きで多忙な場合、宅配ボックスや24時間ゴミ出し可能なゴミ置き場など、共用施設の充実もマンションの大きなメリットとなります。

一方で、テレワークの普及を背景に、ライフスタイルも多様化してきました。趣味のスペース(庭や書斎など)を確保したい、将来的な間取り変更やリフォームの自由度を重視したいというニーズから、戸建てを選択肢に入れる方も増えています。

現時点での利便性を優先するか、将来の変化に対応できる柔軟性を重視するか。夫婦でよく話し合い、価値観に合った選択をすることが大切です。

小さな子どもがいる子育て世帯の場合

子どもの足音や泣き声など、騒音を気にせずのびのびと育てたいといったニーズが高い子育て世帯にとって、戸建ては魅力的な選択肢となります。

子どもと遊べる庭、広い居住空間の確保、車での移動に便利な駐車スペースなど、戸建てならではのメリットは子育て世帯にとって大きいでしょう。室内でも子どもが走り回れる環境は、マンションでは得にくいものです。

エリア選びにおいては、学校や公園、小児科などの周辺環境を重視することも重要なポイントです。通勤利便性だけでなく、子育て環境全体を見渡した判断が求められます。

将来的に子ども部屋を増やすなど、家族の成長に合わせた間取り変更がしやすい点も、戸建てを選ぶ理由の一つとなるでしょう。

老後・セカンドライフ(シニア世代)の場合

身体的な負担を減らすため、階段のないワンフロアで生活が完結するマンションは、シニア世代に好まれる傾向があります。バリアフリー設計の物件も多く、将来の身体機能の変化にも対応しやすいでしょう。

管理の手間(共用部の清掃、修繕手配など)が少ないこと、病院やスーパーが近い利便性の高い立地が多いことも、シニア世代にとってのマンションのメリットです。

一方、戸建てであっても「平屋」を選択すれば、マンションと同様のフラットな生活空間を実現できます。ガーデニングや庭いじりを楽しむ、将来的に子ども世帯との同居のために増改築するなど、ライフスタイルに合わせた自由度の高さは戸建てならではの魅力です。

老後の暮らし方をイメージしながら、自分に合った住まいを選びましょう。

決められない方へ:
後悔しないための最終判断ポイント

これまでの比較(費用、資産価値、住み心地など)を踏まえ、最終的な意思決定を下すために整理すべきポイントを紹介します。

家族構成やライフプランによって最適な選択が異なるため、自分たちにとっての「譲れない条件」を明確にすることが重要です。

優先順位を明確にするための3つの軸

自身の価値観を整理するために、「経済性(総コスト・資産価値)」「快適性(広さ・自由度・管理)」「利便性(立地・セキュリティ)」の3つの軸で考えてみましょう。どの軸を重視するかを検討することで、優先すべきポイントが把握しやすくなります。

マンションが優位な点 戸建てが優位な点
経済性(総コスト・資産価値) 短期的な流動性、土地の固定資産税が安い 管理費等不要、土地資産が残る、物件価格が割安傾向
快適性(広さ・自由度・管理) 管理が楽、バリアフリー 広さ、プライバシー、防音性、リフォームの自由度
利便性(立地・セキュリティ) 駅近、セキュリティ設備、共用施設 閑静な環境、駐車場代不要

ライフステージによって重視すべき軸は変わってきます。例えばDINKSは「利便性」、子育て世帯は「快適性」、シニア世代は「快適性(バリアフリー)」と「利便性」を優先する傾向があるでしょう。

購入後に後悔しやすい「見落としポイント」

購入後に「こんなはずではなかった」と後悔につながりやすいポイントを、マンションと戸建てそれぞれについて押さえておきましょう。

種類 見落としやすいポイントの例
マンション
  • ● 管理費・修繕積立金の値上がりリスク
  • ● 上下階や隣戸の騒音問題(構造や住民による差)
  • ● 駐車場代の負担や空き状況
  • ● 管理規約による制限(リフォーム、ペット飼育など)
戸建て
  • ● 駅からの距離やアクセス(特に雨天時や老後の負担)
  • ● 修繕・メンテナンスの自己管理の手間と費用(計画性の必要性)
  • ● セキュリティ対策のコストと手間
  • ● 光熱費(特に古い物件や断熱性の低い場合)

まとめ:短期的な視点に惑わされず、家族が満足する選択を

マンションと戸建て、それぞれのメリット・デメリットを費用、資産価値、暮らしやすさの観点から比較してきました。最後に、どちらが向いているかの判断基準を整理しておきましょう。

【マンションがおすすめな人】

  • ● 駅近など利便性を最優先したい
  • ● 管理の手軽さ・セキュリティを重視する
  • ● 短期的な流動性(売却・賃貸のしやすさ)を重視する

【戸建てがおすすめな人】

  • ● 広さ・プライバシー・静かな環境を重視する
  • ● リフォームや増改築の自由度を求める
  • ● 長期的な資産価値を重視し、子どもに引き継ぎたい

住まい選びは、現在の投機的な価格高騰などに惑わされず、自分たちのライフスタイルに合い、「満足して住み続けられる」か、さらには「子どもに引き継げる」といった長期的な視点で判断することが何より大切です。

どちらのタイプを選んでも、後悔しないための共通の重要ポイントとして「立地」も忘れてはなりません。駅近だけでなく、周辺環境や子育て環境も含めた総合的な立地選びが、満足度の高い住まい選びにつながるでしょう。

なお、代表的な家族ステージ別に立地の重視ポイントをまとめましたので、以下も参考にしてみてください。

家族構成やライフプランによって最適な選択が異なるため、自分たちにとっての「譲れない条件」を明確にすることが重要です。

家族構成 重視すべき立地のポイント 注意点
共働き夫婦(DINKS) 通勤アクセス・駅近・商業施設や飲食店の充実 騒音や人通りの多さによる生活ストレス
小さな子どもがいる世帯 公園や学校・小児科が近い/交通量が少ない住宅街 駅近でも大通り沿いは安全面・騒音に注意