お役立ち情報03

最強チームの作り方

全員を稼ぐ社員にする
「最強チームの作り方」
~落ちこぼれゼロの組織マネジメント~

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第1章

全員が“稼ぎ頭”に化ける
「最強チームの作り方」とは?

第2章

能力は十人十色
──1on1スキルアップが組織を変える

第3章

熱狂組織をつくる“One Team”の法則
── 愛のシステムづくり

第4章

できない人を“見放す会社”に未来はない

第5章

起業4年で年商191億円を達成できた“これだけの理由”

書籍表紙

「落ちこぼれをつくらない主義」の底力

本書では「不幸な社員をつくらない=落ちこぼれをつくらないチームマネジメント」について、タカマツハウス㈱だけが持つ、湧き上がる組織の作り方を解説しています。
準大手ゼネコンの髙松コンストラクショングループが2019年に、成熟産業とされ、低成長が見込まれる「木造戸建住宅事業」に新規参入し、その事業立上げの責任者として白羽の矢が立ったのは、大手住宅メーカー積水ハウスで伝説と呼ばれる業績を上げた「藤原元彦」でした。
著者は、藤原の在籍した積水ハウスの最大のライバル会社大和ハウス工業出身で、縁あって共にタカマツハウス立ち上げから参画しました。本書はライバル会社で育った私から見た、当社藤原のチームマネジメントの極意をまとめたものです。
全く別の環境で育った私たちは共通言語である「住宅づくり=幸せづくり」を原点とし「湧き上がる組織」を築きあげ、その極意には住宅会社で、長年お客様や社員の幸せづくりに携わったからこそ実現できた「チームビルディング」のノウハウがあります。
お客様にとって住宅という一生で一番大きな買物を提供し、お客様にたくさんの幸せを提供しながら、業績を上げ続けるのは、時に困難が伴います。ともすれば成績不振で不幸な社員をつくってしまい、その結果組織は疲弊し、来る月も来る月も成果が上がらないチームになってしまいます。

成熟産業でも“湧き上がる組織”はつくれる

言うまでもなく、住宅メーカーはお客様を幸せにするために住宅を提供しています。
幸せを提供するはずの住宅メーカーの社員が不幸であってはなりません。
藤原は「不幸な社員をつくらない」と言って、社員に徹底的に向きあいます。「営業の成果が上がらない」のではなく、「まわりの応援が足らない」のであるという方針をとり、社員を鼓舞し、「全員が一人の仲間の“応援部隊”となることで、四方八方からサポートが入る仕組み」つまり「囲い込む」体制を築きました。
それでも成果の出なかった営業担当者は「こんなに皆にしてもらったのに、申し訳ありません」「来月は必ずやります」という姿勢になっていくのです。KPIという乾いた目標で、マイクロマネジメントを得意としていた私にとってこれは衝撃的な出来事でした。
当社は、このチームマネジメントにより、異例とも言える成長をし、現在もその成長スピードは衰えることがありません。
本書は私のように住宅業界で湧き上がる組織づくりに悩むマネージャーに手に取ってもらい、元気な住宅会社をつくる一助になれば良いと考えています。
また住宅業界のみならず、様々な業種のマネジメントに携わる方々に手にして頂き、湧き上がる組織づくりに役立てば幸いです。

落ちこぼれをつくらない「最強チームの作り方」とは?

当社の“落ちこぼれをつくらない”「最強チームの作り方」の重要ポイントは以下の5つに集約されます。

  1. 落ちこぼれをつくらない~応援して囲い込む~
  2. 期待して寄り添う~心の繋がりで1to1スキルアップ~
  3. 一人の100歩よりも100人の1歩・2歩を重視~最重要経営指標は「成約人率」
  4. 湧き上がる組織を作る~人生と仕事に意味を~
  5. 挑戦無くして成功無し~内発的動機でやりたい事業をやる~

藤原のマネジメントを一言で言い表すなら「組織と社員の意識改革」です。
これまでは大企業で新卒一括採用し同じカルチャーで育った社員を率いてきた藤原にとって、中途社員のみで組織されるチームのマネジメントは初めての経験でした。
本書のテーマは“落ちこぼれをつくらない”「最強チームの作り方」ですが、新卒であろうが、中途であろうが、藤原が心を揺さぶり、湧き上がる組織を作るのに変わりはなかったと言えます。社員の生い立ちがいかなるものであったとしても、人間の本質に直接訴えかけるマネジメントで必ず組織は湧き上がるのです。
さらに、社員が発言する言葉や、コミュニケーションにも目を光らせ、ネガティブな言葉や、団結を妨げる希薄化されたコミュニケーションを良しとしていません。何が組織に冷や水をぶっかけるのかよく知っているのです。
この言動と比較し、私が在籍した会社で行っていたマネジメントを振り返ると、社員を数字でしか評価せず、組織を鎮火させる言動を繰り返していたのかがよくわかります。
本書を手に取られた方には、いち早く「最強チームの作り方」を導入頂き、湧き上がる組織を作り上げて頂ければ幸いです。

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落ちこぼれを作らない~応援して囲い込む~

どのような組織においても、成績が上がらない社員は存在するものですが、同時に、ここで1つ言えることがあります。それは誰もが「落ちこぼれたいと思ってはいない」ということです。
タカマツハウスでは、人材採用の際に「覚悟を決めて努力できる人材か?」「覚悟を決めねばならない背景を背負っているか?」を見ています。覚悟を決めなければならない背景というのは、守るべき家族や仲間がいる、転職を繰り返しているが、会社都合や環境が劣悪な会社で不遇な社会人人生を歩んできたが、自分が成長出来る会社で挑戦する覚悟を持っているなど、様々です。
当社に限らず、どのような会社の従業員でも、「この仕事なら頑張れる」と希望と覚悟を持って、就職したはずです。自分は人と話すのが好きだから営業が良いなとか、考えに考えを重ねて研究したり開発したりする仕事が好きだなと、自分の適性、ありたい姿をイメージして仕事を選んだはずです。最初から落ちこぼれようと思って仕事を選んだ人などいないはず。一生懸命努力した結果、思うような結果が出ず、自分一人ではどうしようもなくなって、落ちこぼれてしまうケースが多々あります。
このような社員を「応援して囲い込む」のがタカマツ流湧き上がる組織作りです。記憶に新しい2023年夏の選抜高校野球では、107年振りに慶応高校が優勝しました。選手の個性や自主性を大事にするチームマネジメントや、その結果個性豊かな選手の髪形や、これまでの高校野球の常識であった真っ黒に日焼けした選手達と違った印象が、ワイドショーなどでも繰り返し放送されました。
私たちの興味を引いたのは、選手の活躍や監督の指導法もそうですが、あの応援でした。勝ち進むほどに球場に応援に訪れるOBやファンが増え、決勝戦では甲子園球場のほとんどの観客が慶応高校野球部の応援団となり、サッカーで言うホームのような状態になりました。慶応高校野球部の選手たちは、家族や先輩や友人の大きな応援によって気持ちを鼓舞し、持てる力を存分に発揮し、107年振りの優勝を手にしました。
これが応援の持つパワーです。
私たちはこれと同様に、応援の持つパワーを組織作りに持ち込んでいます。当社では、落ちこぼれそうになっている社員を徹底的に応援します。営業の部署であれば、営業の上司、同僚、後輩。自らの部署にとどまらず、営業のバックオフィスや、管理部門に至るまで、実務や精神的な支援まで支援を続けます。落ちこぼれてしまうと、孤立して独りぼっちになってしまい、自分から周囲に声を掛けることも出来なくなってしまいますが、応援があって手を差し伸べてもらって、声を掛けてもらえるからこそ、独りぼっちの状態から脱出し、軌道を元に戻せるのだと思います。
2023年4―6月に当社で行われた「ロケットスタートキャンペーン」では長期間契約が出来ていない営業社員を会社全体で応援して、成果が出せることを目標にしました。

営業部門においては
・毎日の成果に対するフィードバック、ロールプレイング訓練、同行営業
営業事務においては
・未契約社員の案件の優先処理
設計部門においては
・未契約社員を優先的に作図
管理部門においては
・上司からの手紙を渡したり、そのフィードバック

このような応援を行うことによって、応援を受けた営業社員のなかから、早々に未契約を脱出できた社員が現れました。その社員は、成果を発表する朝礼で「○○さんと、△△さんのお陰です」と声を震わせ感謝の意を伝えてくれました。それでも成果の出なかった営業は、「皆にこんなにしてもらったのに申し訳ないです」「来月には必ず成果を出します」と涙を流して悔しがりました。
このような、一見熱い話をすると、「御社は体育会系なのですか?」と質問されることがあります。特に採用面談でいまのようなエピソードを紹介すると、体育会系に苦手意識を持つ候補者から質問を受けることが多いのです。確かに結果にコミットし、結果のために自らに厳しい鍛錬を課すことの出来るアスリートは、特に成績が見えやすい営業職に向いていると言えるかもしれませんし、社員の3分の2が営業職である当社のような会社は体育会系出身の者も多く在籍します。学生時代に野球やサッカー、ラグビーなど団体競技で成果を上げた者は確かに覚悟を決めて結果にコミットしてくれます。
しかし、私たちは当社を体育会系の会社だとは思っていません。このような候補者の質問に対し、いつもお答えするのは「毎日文化祭のような会社ですよ」「文化祭もみんなで盛り上がったじゃないですか」と答えるようにしています。組織で目標を掲げ、湧き上がる組織によって、その目標を達成するのは、何もアスリートに限ったことではないということです。

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【コラム】不動産の仕入れの仕事とは?
~売土地情報を持つ仲介業者様と関係性を構築する仕事〜

住宅業界での花形は「販売の営業」とされています。お客様の一生で最大の買物を専門的な知識と、スマートな対応でお客様を安心させ、成功裏に導くのが販売営業です。もちろん、それを否定するつもりはありません。しかし、シュリンクすると言われている住宅産業において当社が描いた成長戦略は、これまでの住宅メーカーからすると異色のものでした。
当社では創業時に花形の販売営業を置かず、仕入営業を採用し、未経験で採用した社員はすべて仕入営業に配属しました。
仕入営業はどちらかと言うと裏方の仕事で、住宅メーカーで100人の営業が居れば、うち5人程度が配属されるイメージです。人員も不動産業界で長年経験を積んだベテランの営業が担当することが多いです。なぜなら広範な知識が必要なことと、業界での豊富な人脈が必要である仕事だからです。
しかし、当社では20~30代の比較的若い営業担当者が在籍しています。当社では、これまで裏方であった仕入営業にフォーカスを当て、「優秀な販売営業が頑張って売る住宅ではなく、お客さんが欲しがる売れる商品づくり」を目指し、戸建住宅事業のバリューチェーンの最も川上である仕入を強化しているのです。
用地仕入と言うと、土地の所有者を一軒一軒訪問して、売却交渉することをイメージする方も多いですが、当社ではこのような営業は行っていません。
多くの売土地の情報は、駅前の大手不動産仲介業者や地場不動産業者などに「売却相談」として情報が入ります。最近は駅前の店舗に売主様が訪問するだけでなく、一括査定のポータルサイトなどオンラインからも相談がありますが、結果的には同じように業者に情報が集まります。
当社の仕入営業はこのような売却相談を受けた仲介業者様と関係性を構築する営業です。優良な住宅用地の情報を、信頼関係のある業者様から数多く集めて、売主様が希望する土地の買取を行う営業なのです。
仕入営業は、その土地にどんな住宅を建設できるのか、取引するにあたり阻害要因はないのか、将来にわたって買主様が安心して住むことが出来るかなど、多方面から検証し企画を創り込むためのスキルが必要とします。専門性が高く、取引先からの信頼が無ければ成果を得ることが出来ない難易度の高い営業です。
タカマツハウスでは落ちこぼれを作らず、応援して囲い込む組織マネジメントにより、短期間で大きな成果を残すことが出来ました。それは、社員ひとりでは乗り越えることの出来ない高いハードルをチーム力で乗り越え、更に高い目標にチャレンジする当社のカルチャーがあったからです。

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任せて、任さず ~手を放しても、目を離さない~

誰でも「仕事の任せ方」に悩むことがあります。
例えば、任せきりにして、仕事の質・スピードが低下した。任せきれず、あれこれ手を出してしまい、チームとしてのパフォーマンスが発揮出来なかった、などがあります。
タカマツは、前述のとおり短期間で好業績を上げましたが、実はメンバーもリーダーも異種・異文化・異業種から集まった悪い言い方をすれば寄せ集め集団です。しかしながら、チームのパフォーマンスを最大にする「任せ方」により、人材が短期間で大きく成長し、大きな結果を残すことが出来ました。
ここではタカマツ流「仕事の任せ方」について紹介します。
藤原はメンバーへの仕事の任せ方を「任せて、任さず」と表現します。
これは短期間で業績を上げるために、重要な仕事を思い切って任せる、かつ適度な頻度と深さで点検確認を行うことにより、人材育成や業務の質を高めるマネジメント方法のことです。「任せて、任さず」は担当者への任せ方はもちろん、チームを持つリーダーに対してでも同様です。
そしてこのマネジメントには次の三つの狙いがあります。

  1. 人材育成
  2. 業務の質向上
  3. モチベーション向上

当社が短期間で業績を上げることが出来たのはこの狙いを実践してきたからです。
「任せて、任さず」のマネジメントによって短期間で人が育ち、質の高い業務を行い、応援されることで心が湧き上がり、個々の持つ力が最大限に発揮され、そしてチームとして最高のパフォーマンスを発揮できたのです。
そして「任せて、任さず」には次のようなポイントと注意点がありますので、お伝えしましょう。

1 リーダーは、仕事を配る人ではない

まず、任せ方の良くある失敗は「任せきり」です。リーダーが自分のチームの業務をメンバーに配ってしまうのです。途中のチェックもアドバイスもせず、上がってきた結果のみ叱るリーダー。つまりは、任せっぱなしで結果を怒るリーダーです。
リーダーが何もアドバイスせず、ほったらかしにして、リーダーの納得するアウトプットが出せるはずがありません。少なくともリーダーはそのチームの中で最も仕事が出来るからリーダーなのですから当然です。藤原はこのようなリーダーにはいつもこう言います「『きみも自分と同じ人間なのだから、同じようにやれ』では人は育たない」と。
リーダーはメンバーに対しその仕事に意味を与えて、動機付けし、メンバーが全力で仕事に取組めるマインドセットをしなければなりません。
その仕事を頑張ればチームのまたは会社のどんな成果に繋がるのか、メンバーにどんな風に活躍してくれて成長してもらいたいのかを腹落ちさせなければなりません。ただ単に業務分担をするのが、リーダーの役割ではないのです。

2 リーダーの、自分でやった方が早い病

優秀なプレイヤーであった人ほど、メンバーに任せず自分でやってしまいます。その業務だけ見ればその方が良いアウトプットが出来るし、スピードも速いのは当然です。
小倉広氏の著書『自分でやった方が早い病』(星海社新書)には「この病の先に待っているのは“孤独な成功者”の姿です。『お金はあるが、つねに忙しくて、まわりに人がいない』『仕事の成功を一緒に喜ぶ仲間がいない』」とあります。
こうならないよう、一人で大きな成果を求めるのではなく、チームで大きな成果を求める思考へと変化しなければなりません。
何を隠そうこの私もリーダーになって数年は「自分でやった方が早い病」の末期症状患者でした。営業時代はチームの成績から販促企画、お客様のお申し出まで。本社でマーケティング部門在籍時は、企画立案から推進まで、自分でやると面白いように成果が出るので「自作自演だ~」などと言いながら、一人奮闘していました。
そんな私に転機が訪れたのはオーバーワークのストレスから十二指腸潰瘍になり、本当の病人になってしまった時です。そんな時に後輩からもらったメールが私を二つの病気から救ってくれたのです。

よいしょではありません(笑い)
金田次長
とにかく、お一人でオリンピックに出るのではなく、他のメンバーも連れて国体ぐらいに出場するぐらいの感じで、部下をもう少し育成して楽になってください。
体の事もありますし。
多分、金田さんにはもっと大きな仕事が待っていると思います。
私も部は違いますが金田さんの後ろからいろいろ勉強させて頂いております。
これからもみんなで知恵を絞って頑張りましょう!

私にはこんな素晴らしい助言をくれる後輩がいたので、このメールをきっかけに、メンバーに任すマネジメントを実践し始めました。タカマツに入社してからは藤原のもと、任して任さないマネジメントを勉強し、実践しています。

子育て四訓に見る、ステップごとの「任せて、任さず」

藤原は「任せて、任さず」を社員に説明する際に「子育て四訓」と呼ばれるアメリカ先住民の言い伝えを引用します。子育てを経験したお父さん・お母さんなら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

乳児はしっかり肌を離すな
幼児は肌を離せ、手を離すな
少年は手を離せ、目を離すな
青年は目を離せ、心を離すな

言い伝えにあるステップごとの距離の取り方は、藤原の言う「任せて、任さず」と共通点があります。
乳児は肌を離さず、しっかりと寄り添わなければなりません。入社したての社員も同様、最初は右も左もわからないはずですからしっかり寄り添う必要があります。当社においても住宅営業の経験のない社員を大量に採用しましたので、入社直後はリーダーのみならず会社全員で寄り添って未経験社員を育てました。
少し大きくなると、自分の意志で動けるように肌を離しますが手は離しません。まだ、どんな行動を取るかわからず、危険が一杯だからです。
ビジネスも少し覚えたら、自分でやってみさせることが大事ですが、大きな失敗に繋がらないように手を繋いで社員の毎日の行動を把握できる状態にしておかなければなりません。
少年になれば親元を離れ、自分の足で自由に行動出来るようになりますが、おかしな道に進んだりしないよう目は離してはいけません。
営業社員に例えると、日々の営業活動やお客様への提案書すべてにリーダーが関与することは無く、やりたいようにやらせますが、致命的な失敗や遠回りにならないよう見てあげる必要があります。
青年期になり一人前の一歩前までくれば、物理的に離れていても心を通わせるコミュニケーションが重要です。
社員が独り立ちする寸前であっても、仕事とは違う悩みを抱えていたりするものです。会社や本人がより大きく成長するためにも目標設定や仕事に対する向き合い方など、助言が必要なこともたくさんあります。心のつながりはいつになっても離してはならないのです。

任さずポイントの見極めは「コミュニケーション」をおいて他に無い

ステップごとの「任せて、任さず」を紹介しましたが、大切なのはメンバーがどのステップにいるのかを知ることです。
子育ては、入園・入学・就職などステップが明確ですが、社員はそんなに簡単ではありません。年齢を重ねていても思考やスキルが幼い社員や、若くても自立した社員が存在します。そんな社員達の任さずのポイントの見極めは、コミュニケーションです。
ここでは4段階でコミュニケーションの見極めポイントをお伝えしましょう。

1 新入社員(乳児レベル)

よちよち歩きの新入社員に対してマネジメントは、少しでも気になったらその様子を短時間でも見てやることで、大切な安心感を与えることが出来ます。
タカマツハウスでは2023年4月に新卒一期生となる営業社員を採用しました。
入社から1ヶ月は導入研修として、管理職が手作りした研修プログラムによって研修を行いました。研修プログラムの一部に飛込み営業を体験するために、近隣の企業のオフィスに飛込み訪問をしてアンケートを取得する研修がありました。
研修担当の課長と一緒に午前中はアンケート作成や、訪問先リストの作成し、午後はいざ飛込み営業となる訳ですが、人生で初めての飛込み営業です。緊張しない方がおかしいです。
心配になった私は研修を行っている会議室に様子を見に行きました。案の定、みな緊張し顔がこわばっていました。彼らは、それこそ生まれたばかりの乳児です。そんな彼らに「万が一相手先とトラブルになっても安心しなさい」「訪問先はすべてここから徒歩圏内」「私が飛んで行って謝罪してあげるから、大丈夫」と声を掛けました。
見守ってもらえていること、何かあったら助けてくれることを実感した彼らは、緊張も解け、初めての飛込み営業で安心して貴重な体験をすることが出来ました。

2 未経験営業(幼児レベル)

未経験営業は住宅の営業経験は無いものの、その大変が他業種の営業や販売などで実績を上げた社員です。短期間のOJT研修後すぐに単独で訪問営業を開始し、用地仕入や販売の重要な業務を任せます。
しかし、外に出れば自分ひとりですから、自分のやり方で成果が出るのか、不安になりますし、やってもやっても成果の出ない迷宮に迷い込む営業も少なくありません。
ですからこのレベルでは、すべての訪問に同席し手取り足取り教えるのではなく、ゴールと達成への課題を共有し、一緒になって点検確認してあげるのです。
リーダーは「月間行動スケジュール」を使ってコミュニケーションを取ります。
営業は日々の業務を「月間行動スケジュール」に記載しています。「月間行動スケジュール」には本日の営業活動で達成できたこと、出来なかったことが記載されています。
それを元にリーダーは担当が本日達成すべき目標はクリア出来たのか? 出来なければなぜ出来なかったのか? 担当が次に目指すべき小さなゴールはどこなのかをコミュニケーションします。

3 経験営業(少年レベル)

入社時から自分のことは自分で出来て、成果を出すことが出来るのが経験営業です。
しかしながら当社の営業スタイルや、手掛けるべき物件の理解が足らず、すぐに成果が出ないばかりか、長期間成果が出ないこともあります。
人生で大きな選択をして当社に転職したにも拘わらず、成果に繋がらない日々は不安であり、自分に自信が持てなくなるものです。転職したこと自体を後悔してしまうかもしれません。
ですからリーダーは「あいつは経験者だから、そのうち成果出るだろう」と任せきりにするのではなく、日々のコミュニケーションで営業活動のどこで行き詰っているのかを確認する必要があります。時には目の前で電話営業をさせたり、彼が良好だと認識している顧客が本当にそうなのか、同席してやることも必要です。
担当者は自分が出来ていないことを「このままでは駄目だ」と思いながら、自分を変えることが出来ず、落ちこぼれそうになっているかも知れません。日々のコミュニケーションにより、その状態を把握し、改善のきっかけを作ってあげなければならないのです。

4 リーダー(青年レベル)

担当者としてコンスタントに成果が出るようになると、チームリーダーとしてチームの成果を求められるようになります。リーダーには「任せて任さず」をはじめとする当社のマネジメント術を身に付けてもらわなければなりません。
私たち経営幹部は、任せて任さずのマネジメントによってリーダーを育成しています。
リーダーは営業のノウハウよりも、メンバーとの人間関係や、メンバーのモチベーション向上などに、課題を抱えているものです。その課題は時にリーダー自身では解決できず、結果としてチームのパフォーマンスを低下させてしまうのです。
メンバーのことについて相談出来るのは、リーダーの上長である本部長や支店長です。
大きな組織になると拠点リーダーと本部長が別の事務所で物理的に離れて仕事をすることも多く、目が行き届かないこともあるでしょう。そんな時ほど心を離さず、コミュニケーションが重要です。
昨今はLINEやSNSなど、離れていても豊かなコミュニケーションが取れるツールもあります。簡潔なメッセージでも「ちゃんと気にかけてくれているんだ」と感じてもらうことは出来ます。取り過ぎても足らないのがコミュニケーションだと考え、ツールも有効に使うべきです。

リーダーが心がけるべき2つの「任さず」術

社員とのコミュニケーションの重要性は本書の各章で触れていますし、当社では「礼節・コミュニケーション・団結」が湧き上がる組織づくりの基本であると考えてコミュニケーションを重視しています。
日々のコミュニケーションにより、メンバーやリーダーがどの状態か把握することで、一人ひとりにあった「任せて、任さず」のマネジメントが実現できるのです。
では一方で、「任さず」とは具体的に何を任さないことなのでしょうか?

1 ディテールに入り込む「任さず術」

当社のリーダーの任さず術は「ディテールに入り込むこと」です。
もちろんすべてのディテールに入り込むのは物理的にも時間的にも不可能ですので、ここぞというポイントを見極め、その仕事の細かなディテールに入り込みます。
そもそも藤原を始め、当社の経営陣はその道のプロフェッショナルとして研鑽を積んでいますので、仕事のディテールから全体像や課題を把握し、手を打つ実力があります。仕入営業社員が「この物件は目の前が公園で、見晴らしも日当たりも風通しも良いです。当社で購入すべき物件です」と上申があった時のことです。
藤原は普段のコミュニケーションから、担当営業は成績が振るわず、焦る気持ちから仕事が空回りしている状況を把握していました。そこで「よし、じゃあ俺が観てくるヨ」と即現場に向かいました。
担当営業が言うように確かに公園の前なのですが、公園の公衆トイレが近くにあり、道路にも余裕があるため、タクシー運転手が使いやすいトイレなっていました。風向きや湿度の高い時は匂いも心配ですし、たくさんのタクシーがひっきりなしにやってくる環境は景観や、幼いお子さんたち安全面からも、タカマツハウスが厳選した住宅地とは言えないものでした。
結果、担当者には現地での物件確認の押さえどころを教育し、次に頑張るように伝えました。担当者は自分の実力の無さを反省するとともに、万が一、当社が購入して販売に苦戦するような失敗物件にならず安堵しました。
このようにディテールに入り込むには、普段のコミュニケーションによるメンバーの状態把握と、プロフェッショナルとしての現場力が必要なのです。

2 リーダーが設けるべき「余裕術」

もうひとつ、「任せて、任さず」を実践するときに必要なことがあります。
それはリーダーが余裕を持つことです。そうすることでメンバーからの相談の時間を取ることができ、タイムリーにディテールに入り込み、相談を受けることが出来ます。
当社ではリーダーが必要以上に忙しそうに振る舞い、「仕事がパンパンです」などと自分が一杯仕事をしていることをアピールするのは厳禁です。世の中には「元旦以外休まない。年間364日働きます」といったリーダーもいますが、それは社員に自慢するようなことではありません。
藤原は「リーダーは少し時間に余裕を持たせるべき、目いっぱい仕事を詰め込まない。リーダーのところに来る要件は『重要で緊急』なのだから」と言います。
リーダーに余裕がないと、メンバーも相談しにくいことは想像に難くありません。いつどんな時でもメンバーの報告相談を受入れる余裕がリーダーには必要なのです。
このように任せて任さずのマネジメントにおいては、重要な仕事を思い切って任せつつも、コミュニケーションを大切に、時にはディテールに入り込むマネジメントにより、結果的に全社員が孤立せずパフォーマンスを上げ続けるようになるのです。

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厳しさ10倍、愛情100倍 ~「言うは易し」を越える父性愛~

前項で「出来るのにやらなかった社員には、愛のある厳しさを持って接する」とお伝えし、その際に「厳しさ10倍、愛情100倍」という表現をお伝えしました。
当社ではメンバーに対して厳しさや愛情が足りていないリーダーには「冷たい奴だな~」と皮肉を言うこともあります。
ではなぜ、メンバーの向き合い方について「厳しさ10倍、愛情100倍」というスタンスが大切なのでしょうか?
10倍厳しくするのも大変ですが、注ぐ愛情はその10倍の100倍大切ですから、とても難しいです。しかし私たちは「社員は家族なのだから、そんなことは当たり前」と考えています。
では、次にその意味について考えてみたいと思います。

「厳しさ10倍」は「パワハラ」とは根本的に異なる

「厳しさ10倍」と聞くと、読者の中にはパワハラにならないかと考える方もいるでしょう。
特に建設不動産業界は「3K」などと言われますから、厳しい労働環境をイメージするかもしれません。
ですがそもそも、厳しさとパワハラは全く違います。パワハラは人権を無視した行き過ぎた指導や人格否定のことで、当然ですが論外です。
一方で「厳しさ10倍」は「10倍厳しくする」という厳しさレベルの話ではありません。厳しくというのは、パワハラとは別種のものです。決定的な違いでいえば、

パワハラ=結果を咎める
厳しさ=プロセスに寄り添う

です。
リーダーがメンバーの出来なかった結果のみを咎めることはパワハラの入り口です。結果に対して怒っていますから、度を過ぎた指導や人権を無視した人格否定に繋がっていくのです。
一方厳しさは、プロセスに寄り添います。先述した小さなゴールを達成できなかったのは何故なのか、親身になってメンバーの立場に立って考えてあげます。
プロセスを考え抜けば、メンバーが苦手としていることや商談相手に認めてもらえていないことなどが浮き彫りになります。現実を直視し、逃げたくなる心境を押さえて、自分の成長のために妥協なく仕事のプロセスに向き合わせることが「厳しさ」なのです。
例えを長期間成果の上がっていない若手A君の話でお伝えしましょう。
リーダーは成果の出ないA君の営業活動に同行し、その課題を見つけ出そうと試みました。そして同行でわかったのは、A君は自分と年齢の近い若い営業ばかり訪問していることでした。
若手の営業はベテランに比べると情報を持っていません。このプロセスが把握出来れば、訪問先を考えるプロセスに寄り添って指導が出来ます。訪問すべき訪問先を共有できれば、今度はその達成に向けて厳しくプロセスに寄り添うことが出来ますし、正しい努力により小さなゴールを達成すれば一緒に喜んであげることが出来ます。
次の例は今度は長期間成果の上がっていない、ベテランB君の話です。
ベテランですから新規で訪問先を開拓するよりは、既に関係性のあるお客様から信頼出来る方を紹介いただくのが、担当者自身のこれまでの信頼も活用出来るため、効率が良く、いい仕事につながります。
B君に同行してみると、既に関係性のあるお客様とは上手にやり取り出来るものの、紹介を欲しいということを具体的にお願い出来ていませんでした。良くしてもらっているお客様に「あれもこれも」とお願いすることに気後れしていたのです。
そんな弱気では得意先を増やすことは出来ません。同行したリーダーは具体的な紹介のお願いの仕方や、紹介先が繋がった時の御礼の仕方などをレクチャーしました。そのうえで、頑張れば達成可能なギリギリの目標を設定し、達成を目指すのです。
大切なのはプロセスに妥協を許さないリーダーの厳しい姿勢です。
人間は弱いもので、「今日だけなら」「景気が悪いから」「こんなものだろう」と考えてしまいます。しかしリーダーはそこに妥協を許さず、厳しく奮い立たせてやって欲しいのです。それが「厳しさ10倍」の意味するところです。

リーダーは自分を基準に「厳しさ」を追求してはいけない

ここで1つ、注意点です。
厳しさを追求する際に、リーダーは自分を基準に考えないことが重要です。
仕事が出来てリーダーにまで昇格した人は、油断するとつい「自分」を基準に他者を評価してしまおうとします。自分を基準にするから「みんな自分と同じようにできるはず」と考えてしまい、他のメンバーの仕事の成果が上がらないことを理解できなくなってしまうのです。
リーダーは、自身が人よりも仕事が出来たためになれたのであって、自分も含めた「リーダーになれた人」とそれ以外のメンバーを比較するのは間違っています。むしろリーダーは「自分のチームには自分より仕事が出来ないメンバーしかいない」と割り切るべきです。
その上で、リーダー目線で「ダメ・全然ダメ」と評価するのではなく、個々のメンバーの実力から成果があったのか、成果が出なかったのかで評価すべきです。
目線を下げることで、自分と比べると成果が物足らなくても「いつもより頑張ったね」と声を掛けることが出来ます。メンバーが失敗し、リーダーと比べればとんでもない失敗であっても「A君らしくないね」と声を掛けることが出来ます。メンバーを基準に仕事のプロセスに寄り添ってあげて欲しいのです。

「課題」と「人」をセットにして評価してはいけない

成果の上がっていない担当者にハラスメントをしてしまうリーダーの心境に「課題と人を一緒に考えてしまっていること」があります。しかし、課題と人は分けて考えるべきです。課題とは戦いますが、人と戦うべきではありません。
例えば、重病を患ってしまった人に「あなたは何故病気になるのだ」と咎める人はいないでしょう。戦うべきは「病気」であって「病気になった人」ではありません。
当社は落ちこぼれを作らない組織を目指していますが、自ら望んで落ちこぼれてしまう人間などいません。自分の力ではどうしようもなくなって、周りに声も掛けられなくなって、落ちこぼれてしまうのです。
当社では落ちこぼれてしまいそうな社員の抱えている課題(病気)に向き合って、囲い込んで湧き上がる組織によってみんなで課題に向き合っているのです。
これを「課題」と「人」をセットで考えてしまうと「課題を抱えている人」が憎くなります。憎しみは人権を無視した言動などのハラスメント=パワハラに繋がっていきます。病気を患った家族だと考えて“病魔”と闘うべきなのです。

「愛情100倍」の基本は「家族経営」

「愛情」は厳しさの10倍の100倍です。
この表現に向き合うほど、どうして良いのかわからなくなるかもしれませんが、その答えは「家族経営」にあります。社員を家族だと考えるのです。
藤原はメンバーに寄り添うことが苦手なリーダーには「家族だったらそんなに冷たく出来るか?」と問いかけます。
建設業界では必須の資格として宅地建物取引士があります。資格未取得の社員は年に一度、試験の申し込み・講習の申し込みをします。特に5点免除講習は受講することで点数が5点(50点満点)上乗せされるので合格を目指すなら必須の講習とされています。
昨年度この講習の申し込みを忘れた社員が一人いました。大変残念で、本人はもちろんですが、リーダーにも反省を求めました。
もし自分の子供が受験を目指していたら、心配で「ちゃんと申し込みしたか?」と確認するでしょう。家族には出来るのにメンバーに出来ないのは、愛情が足らないからなのです。
経営の神様と呼ばれる京セラの創業者・稲盛和夫さんも、社員は家族だとおっしゃっています。「大家族主義経営」として社員同士がお互いの成功を祝い、困難を共有し、共に成長できる環境を創り出すこととされていました。社員たちは家族のように信頼し合い、尊敬し合い、助け合うことが期待されていたのです。
また、稲盛さんの右腕として京セラのアメーバ経営の仕組みと情報システムの確立推進、JALの再建にも携わった株式会社NTMC代表取締役社長・森田直行氏が、過去にこんなお話をされていました。
『稲盛さんは、家族というのはどんなに喧嘩をしても、一晩眠れば何事もなかったかのように元に戻れる。会社の社員同士もそうあるべきだとよく話していた』
最近はワークライフバランスの確立など、昔より仕事とプライベートを分ける考えが浸透しています。私たちもこの考えを否定するものではありませんし、仕事の時間と家庭や自分の時間を大切にすることは推奨しています。
社員同士も何かの縁で一緒に仕事をしており、同じ目標に向かって成長を共にしている訳ですから、愛のある繋がりがある方が良いに決まっています。それが落ちこぼれをつくらない会社の風土を作り上げるのです。

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1人の100歩よりも100人の1歩・2歩 ~最重要経営指標は「成約人率」~

マネジメントには「長所進展」と「短所是正」という2つのアプローチがあります。
営業組織で考えてみると、組織のパフォーマンスを最大にするためには、トップパフォーマーを更にレベルアップすることで生産性を向上させる「長所進展」なのか、ボトムのレベルを引き上げるべき「短所是正」なのか、ということです。
これらは営業マネジメントの経験がある方にとっては、悩ましいテーマです。扱う商材やBtoCのビジネスなのかBtoBのビジネスなのかによっても変わってくるでしょう。
私が長く経験した住宅や不動産の営業は一件あたりの金額が大きく、月に何件も契約出来ない商品です。すると成果の上がらない社員をかまっているよりも、パフォーマンスの高い営業にもう一件頑張ってもらう方が、マネジメントとしては安心なのかもしれません。
組織が短期的な成果を上げようとすると、上位2割に着目し、更に成果を上げてもらう方が良いと考えても不思議はありません。要するに「長所進展」の姿勢です。
しかし、タカマツハウスでは落ちこぼれを作らない組織を目指し、ボトムのレベルアップに取組むことで、短期間で大きな成果を上げることが出来ました。ポイントは定石と言われるビジネスのセオリーを“あえて受け入れない姿勢”です。

2:6:2の法則は“あえて”受け入れない

組織における生産性の指標で「2:6:2の法則」は良く知られるところです。
2:6:2の法則とは組織において「成績上位者が2割、6割が平均的な成績、残り2割が下位に分かれる」という考え方です。この法則は働きアリの集団にも見られるといわれ、営業組織のマネジメントの経験のある方には聞きなれた法則の一つだと言えます。
しかし、社長の藤原はこの法則を真っ向から否定します。営業生産性の指標において最も重視するのは「成約人率」と呼ばれる指標です。これは「全営業社員のうち、何人が契約したのか?」を把握する指標で、毎月・最小の組織単位まで「成約人率」の目標と実績を把握するのです。

具体的に当社の仕入営業では、営業所(5名程度)、事業本部(30名程度)、全社(70名程度)の「成約人率」の目標と実績が存在します。
指標だけ見れば、組織のうち何割が働いているかを示す指標にも見え、2:6:2の状況を把握する指標と思われても不思議はありません。しかし、その考えは、それとは根本的に異なり、「落ちこぼれをつくらない(下位2割を認めない)」に根ざします。つまりは「1人の100歩よりも100人の1歩・2歩(平均6割が平均以上の成果)」を重視しています。

もちろん、上位2割を称賛はしますが、このヒーロー/ヒロイン達はマネジメント陣が関与しなくても成果を上げてくれます。
組織のパフォーマンスを上げるには上位2割以外の平均・下位の社員をいかに湧き上がらせ、落ちこぼれを作らないかが重要で、出来る社員を重用し、出来ない社員を見捨ててしまうようなマネジメントでは湧き上がる組織を作ることは出来ないと考えます。
ちなみに当社の創業4期目(事業開始から3年)の仕入営業の生産性の平均は営業一人あたり3件/年です。平均を上回る4件/年以上の契約を達成した営業社員は46%もいます。
約半数の社員が平均を上回る成果を上げているのです。
一方で平均を下回り、長期間契約の無い営業社員も存在します。この社員達が落ちこぼれにならないように、毎日徹底的にサポートしています。先輩上司はもちろん、間接部門の社員に至るまで、落ちこぼれそうな“A君”が成果を上げるにはどんな応援をすれば良いのかを考えて実行してくれているのです。
「成約人率」は出来ない営業社員を追い込む指標では無く、落ちこぼれそうな営業社員に光を当てて奮起してもらうための重要指標なのです。

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短期間の頑張りでインセンティブは3倍~ボウリング式採点方法~

仕事とプライベートのふり幅が大事で、プライベートの出会いや経験が仕事に活きるという考えは前述の通りです。プライベートの充実には収入も大切で、特にこの業界で営業職を選ぶ方は「稼ぎたい」意識が高いです。しっかり稼げる制度とすることで、仕事へのモチベーションを高めることが出来ます。私たちのインセンティブ制度は、成果が報酬として手に入るという点で優れた制度となっています。異なる業界でも十分参考にしてもらえることでしょう。

制度設立の背景

当社のインセンティブ制度は営業開始間もない2020年3月に制定されました。まだ社員数が二十数名の時です。早期に営業体制を確立するために、採用活動を本格化したのがこの頃です。知名度のない当社の魅力になるインセンティブ制度にするために、①年収3000万円以上稼げること、②一件契約したら、もう一件契約しようと気持ちになることを条件に検討に入りました。同業他社に類を見ない魅力的なインセンティブ制度にするために、様々な調査やヒアリングを実施しました。作っては見直し、見直してはやり直し、検討を繰り返しました。

業界でも珍しい「基本給+賞与+インセンティブ」

当社では基本給+賞与に加えてインセンティブを支給しています。一般的に多いのは、営業の成果は賞与に反映されて、インセンティブの支給は無い会社。あるいは、インセンティブは支給されるが、賞与の支給は無い会社です。また、フルコミッションと言われる、すべて成果給という会社もこの業界には多く存在します。
私たちが目指したのは、「基本給+賞与+インセンティブ」の制度です。大手ハウスメーカーなどでも採用されているこの制度は、基本給の安定感がありながら、社員全員で頑張った業績が自分の賞与に反映され、自分自身が頑張った成果はインセンティブとして支給される魅力的なものです。

最大の特長~短期間の頑張りが成果に~

インセンティブ制度設計において、もっとも特長的なのが、短期間の頑張りが支給額の増額に繋がる独自の制度です。当社のインセンティブは仕入営業も販売営業も四半期(3か月)ごとに評価をしますが、四半期のなかでもう一件契約すれば、支給額が増額される制度となっています。一件契約したら安心するのではなく、もう一件頑張って契約して欲しいのです。
もう一件契約出来れば、最初の一件も含め、その四半期に契約した案件すべての支給額が増額になります。二件目が契約出来れば、さらにもう一件と実績を重ねるごとに四半期間の契約すべての支給額が増額となります。仕入営業も販売営業支給倍率加算のステップは5段階あり、最大で3倍の大幅増額となります。

要望を聞いて常にブラッシュアップ

当社のインセンティブ制度は一度作ったら終わりではなく、何度も改定を重ねています。営業社員の要望を聞いたり、役員や本部長からの想いを込めたりと、ブラッシュアップされています。具体的には制度制定以降3年半で4回の制度改正が実施されています。大きな改正点としては、リーダー加算の導入があります。営業所長は4~5名のメンバーをマネジメントしながら自身の営業も行う、プレイングマネージャーです。リーダーのインセンティブ評価は、四半期ごとの自分自身の契約実績が基本ですが、メンバーの成果も加算できるように改正(2回目)されました。リーダーは自分自身の成果も追求しながら、メンバーを育成しチームとしての成果を上げてもらうのですから、その頑張りも評価しているのです。他には、営業社員全員の宅建資格取得を目指した制度改正(3回目)や、都市部から郊外に営業エリアを展開するうえでの改正(4回目)など、進化しています。ブラッシュアップを重ねたインセンティブは言うなれば「門外不出の秘伝のたれ4 4 」です。社員のモチベーション向上のために進化を重ねていきます。

稼ぐことの重要性

これまで述べてきたように、社員の働く意味や自己実現、成長などをモチベーションに湧き上がる組織をつくることは重要ですが、お金も重要です。藤原と私はライバル企業で育ってきましたが、稼ぎに関する価値観は良く似ており、摺合わせした訳ではありませんが、社員に対し、まったく同じことを言います。
「人の倍お金を稼げば、人の倍お金を使っても、人の倍貯金が出来る」
京セラの稲盛和夫氏も、同社の経営理念を「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」としています。心も大切ですが、経済的な豊かさも幸福を追求することになるということです。不動産業界の営業はそもそも、稼ぎたいというマインドが強い社員が多いため、インセンティブ制度で湧き上がらせるのも効果的です。

もちろん、魅力的なインセンティブ制度を導入するには人件費がかかります。制度を維持するためには、お客様に喜んで頂ける付加価値の高い分譲住宅・戸建住宅用地を提供しながら、効率的な経営を行うことが条件になります。目指す事業の在り方と、インセンティブ制度は両輪です。いい会社にすることが、自分たちのためになるのだということを、社員に理解してもらい、社員にとっても経営陣にとっても良い企業を目指すのです。

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中締め(仕事のハーフタイム)の重要性~前半戦を振り返り、後半戦に臨む~

業務の成果の集計単位を月次にしている企業は多いと思います。
月次(1ヶ月)の次は四半期(3ヶ月)で、その次が半期(6ヶ月)、そして通期(12ヶ月)というように、業績を数ヶ月単位で集計することが多いでしょう。
ですが、月次よりもさらに短いスパンで集計している企業は、それほど多くないのではないでしょうか?
当社では、月次の中間=中締めを重視しています。最終的な営業成果は月次で見ますが、中間で締めて前半戦を振り返り、足りなければ後半戦で取り返す営業マネジメントを行っているのです。
これによって、月初めに定めた目標を必ずやり切るようにマネジメントできます。いわば営業の「ハーフタイム」です。
湧き上がる組織によって落ちこぼれを作らない意味でも非常に効果的で、月の半ばで落ちこぼれそうになっている社員を発見できます。本人はもちろん、周りもそれに気づくことが出来るのです。その考え方をご紹介します。

仕事のハーフタイム「中締め」

そもそも「中締め」は藤原が積水ハウスの支店長時代に開発したマネジメント手法で、成功事例として積水ハウス全国に展開されたそうです。
当時、私が在籍した大和ハウス工業でも「ライバル会社の積水ハウスは中締めというシステムで伸びているらしい」という情報が入り、私の所属した地区で中締めを実施した過去がありました。
当社で本当の中締めを体験して思ったのは、私が過去にしていた中締めは本家とは似て非なるものでした。当時、私たちが真似したのは「月の半ばで数字を締める」ことだけで、中間の結果管理でしかありませんでした。

藤原による中締めとは、サッカーやラグビーで言うところの「ハーフタイム」です。
ハーフタイムと言うと前半戦と後半戦の休憩をイメージされる読者もいるかもしれません。スポーツに疎い私もその一人でした。
当社で導入されている中締めは前半戦の営業活動を振り返り、「何が出来て、何が出来なかったのか」を徹底的に検証することに重きを置いています。前半を振り返ったうえで、後半は戦い方(営業の仕方)を変えるための中締めなのです。
2022年カタールで行われたサッカーワールドカップで日本代表がベスト16入りし、大変盛り上がりました。
森保一日本代表監督はハーフタイムで前半を振り返り、後半戦で戦術を変え、選手を交代させて、並みいる強豪を撃破しました。
前半戦で勝利の見込み、達成の見込みが無いのにも関わらず、改善もなく後半戦に臨んでいては、成果など出るはずがありません。
しかしながら、ひと月で成果を捉えてしまうと焦り出すのは20日を過ぎてから…、そうなると月によっては残り稼働日数が6日などとなってしまいます。これでは、取り返しはつきません。
落ちこぼれる社員は自ら落ちこぼれようとしているのではなく、自分一人の力ではどうしようもなくなって落ちこぼれていくのです。このままでは駄目だと本人も周囲も気付くためのシステムが「中締め」なのです。

2024年4月1日現在、70名の用地仕入営業が在籍しますが、これまで中締めはすべての営業ひとりずつがみんなの前で発表します。その発表を藤原はじめ、役員・本部長、営業全員が振り返りの内容と、後半の戦略戦術を食い入るように聞きます。
成果を上げ、淀みなく発表する社員はヒーローとなりますし、振り返りが甘く戦略戦術に落ちていない営業は役員や本部長から助けの手が差し伸べられます。その助けの手は、その場でのアドバイスにとどまらず、後半の営業同行といった具体的な応援となります。
中締めは落ちこぼれをつくらない組織における重要なシステムなのです。

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【コラム】断る時ほど「作法」が必要~どこまでいってもファンづくり~

当社の仕入れ営業では、住宅用地の情報を数多く集め、その中から希少価値が高い住宅用地を厳選して商品化します。おおよそ月に2000件以上の情報を集め、そのうち当社が購入の意思表示(買付)をするのは50件前後です。
と言うことはいただいた情報2000件のうち、1950件は「残念ながら当社ではお取組み出来ません」とお断りすることになります。せっかく当社に情報をいただけた訳ですからお断りするのは大変心苦しいのですが、当社の仕入れ営業にとってはいただいた情報をお断りするのは、日常的な営業活動であると言えます。

この仕事においても、成果の上がる営業担当となかなか成果の上がらない営業担当の差が出ます。
成果の出る営業担当は、いただいた物件のどこが当社の購入基準に合わなかったのか? どんな条件だったら購入出来たのか? これらについて丁寧に仲介業者などの情報提供者に説明します。この理由説明が丁寧であればあるほど、誠実さが伝わります。
時には「だったらこちらの物件は合いますか?」「間口の広さが問題なのであれば、こちらの物件だったら合いますか?」とその場で次の情報を頂くことにつながるのです。
「当社で物件を購入したい」のように、先方に取って良い話であれば、ある意味で誰がやっても前向きな商談となりますが、悪い話であれば先方に取っても響きの良い話ではありません。取引先によっては「せっかく紹介したのに」「このエリアを重点的に探しているといったじゃないか」とネガティブな感情を抱くこともあります。
このような悪い話を、誠意を持って理由を丁寧に伝えることで「この人はデキるな」「誠実だな」という印象を与えることが出来ます。
一方で横着な断り方になると、そこで関係が途切れてしまうことにもなりかねません。
いただいた情報に対して何も回答しないで、あっさり断ってしまってはいけません。先方は「あなたの断り方が気に入らないからこれから取引しません」と告げることはありません。何も言わず「そっと」関係を切られるのです。
当社ではこれら一連の断り方を「断り品質」と名づけ、重要な仕入れ手法として位置づけています。「断り」に「品質」と言うのは、なんとも聞き慣れない組み合わせですが、取引先との関係を深めるのに大変重要です。

さらに、これは断られる側の受け止め方の話になりますが、大和ハウス工業の創業者・石橋信夫氏は「断られた時に営業は始まる」の言葉を残されています。
断られて初めて、提案のどこが顧客にマッチしていないのか、決められない理由は何かが明確になります。その課題を解決することで、契約に繋がるのだと教わりました。
私が入社した当時の営業が“野武士集団”と呼ばれ、圧倒的な営業力を誇った理由はここにありました。断られても断られても諦めない営業スタイルが、営業の原動力だったのです。
断るのも、断られるのも、その時に課題が明確になるのです。課題解決の先に営業の成果があると言うのは、いつの時代でも、どちらのシチュエーションでも同じです。

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上からは霞んで見えない~下からは人数の2倍の目で見られる~

日々報道される企業の不祥事を見ていると、リーダーの倫理観が欠落しているように思えてなりません。
実際、転職を考えている候補者からは「上司が仕事もせず、社内政治やゴルフばかりしている。あんな風にはなりたくない」という現職での不満をよく聞きます。
リーダーの倫理観が欠如し、私利私欲に走ったり、ろくに仕事もせず事務所で踏ん反りかえっていては組織が湧き上がるはずもありません。

当社では、リーダーが上で、メンバーが下だという考え方はありません。
しかし、わかりやすい例えとして「上からは霞んで見えない。下からは2つの目×人数で見られている」と、リーダーに対して日常の行動を律するように働きかけています。
ここで大切なことは「メンバーは上司であるあなたに苦言は呈しませんが、見逃している訳ではない」ということです。
リーダーの目は2つですが、メンバーの目はメンバーの人数×2倍です。当然メンバーの目の方が多いわけです。リーダーは数多くの目が自分を見ているのだということを忘れてはなりません。組織は頭から腐るとも言います。当社がリーダーに求めている倫理観についてお話しします。

動機善なりや、私心なかりしか

京セラ創業者・稲盛和夫氏の有名な言葉に『動機善なりや、私心なかりしか』があります。氏の公式ホームページには以下のように記されています。

大きな夢を描き、それを実現しようとするとき、「動機善なりや」について自らに問わなければなりません。自分の動機の善悪を判断するのです。善とは、普遍的に良きことであり、普遍的とは誰から見てもそうだということです。自分の利益や都合、格好などというものでなく、自他ともにその動機が受け入れられるものでなければなりません。また、仕事を進めていく上では「私心なかりしか」という問いかけが必要です。自分の心、自己中心的な発想で仕事を進めていないかを点検しなければなりません。動機が善であり、私心がなければ結果は問う必要はありません。必ず成功するのです。

この言葉を先に説明した企業の存在価値やパーパス経営の考えに沿って考えると、「必ず成功する」と強く断言されている理由がわかります。
企業の存在意義や重要な価値観が単に利益を追求するだけでなく、より大きな社会的・倫理的な意義にあると言えます。
善い動機と私心の排除は、組織がそのパーパス(目的)を達成するために重要であり、唯一の成功要因だと断言されているのだと思います。

稲盛氏はこの考えのもと、KDDIの創業や日本航空の再建に取組まれたそうです。
KDDIでは国民が負担する高額な通信費を下げること。日本航空の再建では適正な競争により航空運賃が決まらなければ国民の利益を逸失するとの考えにより、無報酬で再建を請負われたといいます。
私たちはこれほどの高尚な動機がある訳ではありませんが、企業理念にも掲げている通り、住まいを通じてたくさんの幸せを実現していくことは、決してお題目ではありません。
リーダーが目先の利益ではなく、お客様や社員の幸せに繋がるかを原則として考え行動しています。

また、私心については、右腕として活躍した株式会社NTMC代表取締役社長・森田直行氏からこんなエピソードをお聞きしたことがあります。
稲盛氏は社用車を家族の用事には一切お使いにならなかったそうです。徹底されており、奥様は社用車に乗ったことすら一度も無いそうです。奥様も徹底されていて、たまたま同じ方面にほんの数分であっても、同乗されることは無かったといいます。
公私をきっちりお分けになっていた様子が、このエピソードからも窺い知れます。

人間は動物の血が流れている。だから倫理感を養う必要がある

伊藤忠商事の元会長・丹羽宇一郎氏は著書『人間の本性』で倫理観について以下のように記されています。

この世には善人も悪人もいない。人間が生物界の頂点にいるのは、脳が極端に発達して理性という道具を手にしたからです。ただ、基本的には動物ですから、「理性の血」の底には「動物の血」が流れています。
(中略)
ということは、「動物の血」のほうが「理性の血」に比べれば歴史が圧倒的に長く、それゆえ強靭といえます。「動物の血」を抑え、コントロールしようとする「理性の血」は、いざとなれば簡単に消えてしまうでしょう。他人を顧みない自分勝手な行動をしたり、自分の利益のために人を踏みにじったり、嘘をついたり…。そんな「動物の血」は、常に「理性の血」の下をマグマのように流れているのです。いわゆる善悪というのは、「理性の血」が「動物の血」をコントロールできている状態が「善」、「理性の血」が姿を消し、「動物の血」が噴き出す状態が「悪」といってもいいでしょう。

リーダーは人間(自分)には邪な「動物の血」が流れていることを認識したうえで、倫理観を持って「理性の血」で抑え込むことが必要です。

ポジションは一時的に与えられたもの

史上最年少で積水ハウスの本部長、執行役員、常務執行役員を歴任した藤原元彦は当時、上の役職を与えられる度に元代表取締役CEO・和田勇氏から「名刺は命令書だ」とのお言葉をもらったそうです。偉くなったのではなく、その名刺を使ってその立場でしか出会うことの出来ない地元の名士や、企業のトップと人脈を構築し、業績を拡大せよという意味で「命令書」だというのです。
また、私が40代前半の頃、大きな事業部の責任者を拝命した時のことです。自らを律するために皆からは見えないロッカーの扉の裏に次のような言葉を貼っていました。
「実力で仕事、地位で責任」
これは元住宅金融支援機構理事長・島田精一氏の言葉でした。
人間はしばしば、与えられた自分のポジション自体が力を持っていると錯覚してしまいがちです。その結果、横柄な態度をとったり、権力を傘に地位で仕事をしてしまうのです。
しかし、仕事は自分自身の実力で行うものであり、地位は責任を取るために与えられたものであるという考え方です。

これまでの努力が評価されポジションを得たわけですから、いい気になってしまいそうなものですが、この言葉が戒めになりました。
社内外からチヤホヤされても「これは自分にではなく、事業部長というポジションにしていることだ。いい気になるな」と言い聞かせることが出来ましたし、何か問題が発生すれば実力のある自分が解決すべきと覚悟を決めることが出来ました。

ポジションを与えられると「自分は偉くなったのだ」と勘違いしてしまいます。しかし、与えられたのはポジションであって、自分は偉くともなんともありません。ここを勘違いすると、社外で尊大な態度を取って取引先からの評価を下げてしまったり、社内で権力を振りかざしたり、下からたくさんの目で見られたときに「うちのリーダーは何をやっているのですか?」となってしまうのです。毎日、リーダーがそのような勘違いに陥らないよう、注意を払っています。

正直者が馬鹿を見ない職場とは

日常の行動や言動はもちろんですが、常日頃の業務の意思決定や会社としての重要な意思決定についても、たくさんの目でみられているのがリーダーです。
自社と顧客の利害が一致しなかったり、不当な要求を突きつけられたりと、企業経営においては様々な局面でリーダーの判断が求められます。
当社では行動規範の一つ目に「フェア」を掲げており、胸に手を当てて考えれば、必ず導き出されるフェアな判断をリーダーにもメンバーにも求めています。藤原は、本来良いこと、悪いことは誰が聞いても当たり前で、胸に手を当てて考えれば答えは一つだと言います。
当社におけるフェアの定義は、以下の通りです。

1 Fair── 私たちはフェアである

  • 誰に対しても真摯に向き合い、正直で謙虚でいよう
  • 礼節を重んじ、縁や恩、感謝する心を大切にしよう
  • 初心を忘れず学ぶ姿勢を持ち、沢山の人とつながろう

私心が自らの心を支配し、偉くなったと勘違いすればするほど「正直で謙虚」にいることは難しくなります。
当社は、2017年積水ハウスが被害に遭った「地面師事件」によるクーデターがきっかけで藤原が前職を退職し、髙松孝之名誉会長との縁から創業して、志をひとつにする仲間が集まり、成長しました。
私は、事件やクーデターを論じる立場にはありませんが、嘘やごまかしや裏切りを良しとせず、正直であることに妥協しなかった藤原の生き方に社員が共感していることは事実です。
これからも迷ったときはリーダーが胸に手を当ててフェアな判断が出来る会社でありたいですし、沢山の目で見ているメンバーもその判断に共感してくれると思います。正直者が馬鹿を見るような企業風土では湧き上がる組織の実現は困難です。

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成熟産業でも負けない戦い方~やりたい事業をやる~

現在の日本経済は「失われた30年」と称され、戦後の高度成長期からバブル崩壊を境に低成長の経済へと変化しました。
人口動態をみれば超高齢化社会が訪れ、少子化は想定よりもスピードを上げて私たちの社会の先行きに暗い影を落としています。
そんな背景で、自社の手掛ける製品やサービスに将来性が見いだせず、悩んでおられる経営者やリーダーは多いはずです。
住宅産業も前述の通り世帯数を住宅ストックが上回り、空き家が増え、世帯数は減少するという将来に希望を持てない産業構造となっています。

これは住宅産業に限らず、人口が減少することで、食品業界も衣料品業界も同じように将来に希望が持てない産業と言えます。
では、全産業がダメになるかというとそうではなく、やはり優れた競争戦略や新たな提供価値による事業の創出などによって、企業が生き残り成長している事例はたくさんあります。
たとえば眼鏡業界は人口減によって“目玉”が減っても、ファッションアイテムとして複数個の眼鏡を楽しむ生活を提案したり、視力が悪くない方にもスマートフォンやパソコンから出るブルーライトをカットする眼鏡によって、疲れ目を防止したり安眠を提供するなど、新たな市場の創出に取組んでいます。

本書を手にされた経営者やリーダーの皆さんも、皆さんが事業を行っていらっしゃる産業で何をすれば事業を成長させることが出来るのか、日夜知恵を絞られているはずです。
私たちは低成長とされる産業に新規参入しながらも短期間で大きな成長を遂げました。
それは統計による未来予測を信じるのではなく、自分たちがやりたいことをやる「内発的動機」によって事業をスタートさせたからです。
どのように考えて、どのように進めたのか紹介し、皆さんが事業を成長させる参考にしていただければと思います。

タカマツハウスはこうして生まれた

髙松グループにおいて新規で戸建事業に参入することになったのは、グループの実質的な創業者髙松孝之名誉会長の発案です。
なぜ名誉会長は低成長の戸建住宅産業に新規で参入することを決めたのでしょうか?
髙松建設は髙松孝之名誉会長の父、髙松留吉氏が前身となる髙松組を1917年に創業したことからスタートしました。
髙松留吉氏は若くして心臓を患い、逝去されたのは孝之名誉会長が19歳の時でした。
当時10名にも満たない髙松組を率い、一代で東証プライム上場の準大手ゼネコンと呼ばれるまで成長させた髙松孝之名誉会長の経営手腕は凄まじいものがありますが、会社がまだ小さい頃は元請け(施主から直接請負工事を受注し施工する)ではなく一次下請け、二次下請けの仕事をしており、積水ハウスの集合住宅の下請けなどもしていたそうです。

積水ハウスや大和ハウス工業など大手住宅メーカーはその後、大きく成長し、積水ハウスは売上高3兆億円を誇ります。
大和ハウス工業は国内建設業ナンバーワンの売上高5兆円の巨大企業となり、髙松孝之名誉会長はその成長力をリスペクトしていたと聞きます。
現・髙松建設代表取締役社長の髙松孝年氏は、大学卒業後新卒で積水ハウスに入社し、注文住宅営業としてキャリアを積んだそうです。
そんなことから、髙松グループは大手ハウスメーカーのビジネスモデルへのリスペクトから、いずれ自分たちも戸建住宅事業に参入しようと考えていたそうです。

参入機会を伺っていた2018年当時、戸建住宅事業で後発ながら存在感を示していたのはオープンハウスグループでした。
低成長とされる戸建住宅事業において急成長していた同社は、首都圏で「東京に家を持とう」を合言葉に、敷地や建物が小さくても大きく見せる独自のノウハウや、圧倒的な販売力により実績を上げていました。
創業25周年となる2023年9月期には売上高1兆1984億円となり、1兆円企業の仲間入りを果たしました。
髙松建設は大阪から東京へと、より魅力度の高いマーケットにシフトし、東京の建設不動産市場が巨大なポテンシャルを持っていることを認識していましたので、これらをきっかけに戸建住宅事業に参入することになったのです。
この話を聞くと、原動力は「戸建をやりたい」という創業者や経営陣の想いだったと感じるのです。

VUCAが追い風になる

統計予測などはあくまで未来予測でしかありません。
VUCA(「Volatility:変動性」、「Uncertainty:不確実性」、「Complexity:複雑性」、「Ambiguity:曖昧性」)の時代と呼ばれる現代で、統計予測から未来を予測するのは困難です。
2020年には全世界でパンデミックが起こり、2022年にはロシアがウクライナに軍事侵攻し戦争が始まりました。
2023年10月には、ハマスがイスラエルを攻撃し、紛争になるなど、この流れを誰が予想できたでしょうか?
これらによって様々な経済変動があったことは記憶に新しいと思います。
私たちが髙松グループ経営陣の「戸建をやりたい」という思いの元に、集まったのが2019年10月。
コロナが日本国内で最初に発見されたのが、2019年1月(中国の武漢市に滞在歴のある肺炎患者から発生)でした。
4月には初の「緊急事態宣言」が発出され、まさに想像を上回る非常事態でした。
私たちには髙松グループ経営陣の「戸建をやりたい」という想いが、タカマツハウスに集まった経営陣には「戸建住宅業界で事を成したい」という志がありましたので、このピンチをチャンスに変えました。
未来はどうなるかわからないが『自分たちが良いと信じた戸建住宅を、信念を持って創り提供する』ことを胸に誓い、不断の努力をしました。
勝てるかどうかわかりませんが、退路を断って(転職して)これまで育ててもらった戸建住宅事業で、いい会社をつくりたいという強い思いがありました。
その後コロナ禍により戸建住宅への需要が高まったことで、私たちが信念を持って創った戸建住宅・住宅用地の販売が進みました。
この追風がなければ、いまの会社の形になるのは数年先だったでしょう。
また、私たちが「戸建をやりたい」という信念がなく、「儲ければ良い」程度の気持ちでこの事業に参入していたならば、コロナ禍に見舞われて経済活動がストップした時に「先の見えない先行投資は一旦中止」の判断をしていたはずです。
もちろん結果がうまくいったので言えることもありますが、仮に更に経済状況が悪化していたとしても、変化に合わせた対応で乗り切っていたのかもしれません。
いずれにせよ「内発的な動機は大切」であると思います。

簡単に「駄目だろう」と決めつけてはいけない

ビジネスマンとしてキャリアを積めば積むほど、成功体験あるいは失敗体験が積みあがってきます。
これは次の判断をするときに重要な経験となるのですが、安易に駄目だろうと決め付けるのは良くありません。
住宅業界で言えば、人口減・世帯数減・空家増の状況では戸建住宅を大きく伸ばすのは駄目だろうと、簡単に考えればそうなります。
しかしながら、たとえば人口が減っても増え続けるインバウンド需要に対応する民泊を併設した戸建住宅を建てれば、民泊として活用した収益がオーナーの月々の返済を助けるような住宅づくりに繋がります。
空家の増加も政府の対策が進めば戸建用地として優良な宅地が供給され、新たな需要につながるはずです。
用地仕入に強みを持つビジネスモデルであれば、空家の増加と解消はビジネスチャンスととらえることも出来ます。
簡単に「駄目だろう」と決めてしまっては思考停止に陥り、そこから先に進めません。

大切なのは「自分の目で見て、耳で聞いた情報を信じる」という点です。
判断には判断材料(情報)が必要ですが、リーダーになると多くの情報は「人から聞いたもの」「人が聞いたこと」になります。
これには見聞きした人の「バイアス(思い込み)」がかかります。
バイアスがかかった情報で簡単に駄目だろうと決めつける経営者に、新たな事業など創造出来るはずもありません。
すべての情報を自分で見聞きすることは不可能ですが、大切な情報は直接自分で確認する気概が必要です。
直接と言っても、一本電話することなどで解決することが大半です。
経営者は真実に近い情報を数多く得たうえで、判断をしなければなりません。

世の役に立つ事業で湧き上がる組織はつくれる

私が25年半勤めた大和ハウス工業の創業者・石橋信夫氏は、1955年の創業以来、常に社員に次のように語っていたそうです。

何をしたら儲かるかという発想でことにあたるな。
どういう商品が、どういう事業が世の中のためになるかを考えろ。
会社は社会の公器やからな

石橋信夫氏は、台風の強風でも倒れない稲の様子から、中が空洞の鋼管による建設事業を発想し、建築の工業化により戦後の高度成長期の建設需要に応えました。
また、「ミゼットハウス」(離れの勉強部屋としてダイワハウスが開発・販売したプレハブ部屋)は、戦後のベビーブームに生まれた自分の部屋が持てない子どもたちのために「安くて、安全で、独立した勉強部屋ができないか」という発想から誕生し、大ヒットしました。

いずれも「何をしたら儲かるか」ではなく「どうしたら世の中のためになるか」の発想で事業を創り出しました。
東日本大震災や熊本の震災では建設の工業化による安価で短工期な仮設住宅により、被災した方々の生活を守りました。
その後、中興の祖と言われた樋口武男最高顧問は「あ・す・ふ・か・け・つ・の」(安全・安心、スピード・ストック、福祉、環境、健康、通信)のキーワードで世の中のためになる事業の創出を行いました。
ここにも統計予測によって儲かる商売をする発想はありません。

松下幸之助など名だたる経営者たちが「企業は社会の公器」として「物心両面の幸福を追求する」ことに心血を注いだのは世の中のためです。
「自分の才能、能力を私物化してはならない。
自分の才能は、世のため人のため、社会のために使えと言って、たまたま天が私という存在に与えたのです」としたのは稲盛和夫さんです。
今でも多くの経営者が感銘を受け、世の中のために事業にあたっています。
これらの経営者の想いを社員と共有し、世の中の幸福を我が幸福と考える社員が増えれば、落ちこぼれをつくらない湧き上がる組織がつくれるはずです。

書籍表紙

「目利き」ではなく「厳選」~お客様の幸せファースト~

携わる仕事によっては顧客の姿が見えず、自分のやっている業務がお客様や社会のために役立っていることが見えにくいことがあります。
これまで企業の存在価値などの話をしてきましたが、日々の担当者の業務においてそれを実感させるのは職種によっては容易ではありません。
当社では創業間もないながら集まってきた役職員の間には会社や仕事や仲間に対する想いがありましたので、創業間もないころに「企業理念」「ビジョン・ミッション・バリュー」「行動規範」を定義しました。特に日々の仕事の価値を言語化することで、自らの業務がお客様や社会のためになることを実感できるようにしています。
自らの仕事を誇りに思うことが出来れば、湧き上がる気持ちは更に強くなります。
当社では提供価値をコアバリューと定義し言語化することで、仕事に誇りを持たせることに成功し、湧き上がる組織作りのベースとなっています。
自分たちのやっている仕事に誇りを持たせる言語化が必要なのです。

企業理念、ビジョン・バリューの策定

経営理念・行動規範策定にあたっては、策定方針として以下のとおり定めました。
ぜひあなたの会社で作成するときのヒントにしてみてください。

1 社員や経営陣の想いや意見を大切にする

従業員アンケートや、従業員・経営陣へのインタビューに多くの時間を割きました。

2 会社からの押し付けでなく、現場の社員が共感し語り手になれるようにする

同業や異業種の他社の経営理念の情報収集を行い、社員が共感するために必要な条件を徹底的に洗いだしました。

3 若い社員にも受け入れられやすい、情緒的でわかりやすいことばを選ぶ

経営陣は文通やラブレターを書いたことのある世代ですが、若い社員はSNSなどを使いコミュニケーションを取る世代です。言葉を軽くするという意味ではなく、世代を超えて共感してもらえる言葉選びを行いました。

また、理念やビジョンが意味するところ様々な定義や解釈がありますが、当社では以下 の通りその意味を定めました。

  • 企業理念…… 経営者が大事にしている考え方
  • 行動規範…… 経営理念に沿った方向で、組織文化と社員の行動態度を錬磨するためのもの
  • ビジョン…… 実現を目指す、将来のありたい姿です。どの山に登るかに例えられる
  • ミッション……果たすべき使命であり、存在意義(Purposeとも置き換えられる)どうやって山に登るかに例えられる
  • バリュー…… 価値観、価値基準。ここでいう、バリューとは組織共通の価値観

ひとつずつその秘められた想いを紹介します。

◇企業理念
お客さまと社会が求める、
理想の住まい・暮らしづくりを通じて、
沢山の幸せを、かたちにしていく。

「沢山の幸せを、かたちにしていく」が、最も重要な文言の位置付けです。お客様や社会に対して幸せをかたちにすることを、掲げています。
これは、落ちこぼれをつくらず、社員が「幸せ」になることに繋がる重要な言葉と定義し、当社が最も大切にしている考え方です。
皆さんの会社で企業理念を制定するならば、どんな言葉を用いますか?私たちアンケートやインタビューで当社らしい「幸せをかたちにする」に行きつきました。社内の誰もが納得する言葉を選び出すのには、大変な労力が必要ですが、企業が存続する限り最も上位の存在価値となるのが、企業理念です。
他から響きの良い適当な言葉を選んできても、会社の文化にマッチしなければ、意味がありません。妥協することなく納得感のある言葉を選んでもらいたいと思います。

◇ビジョン
お客さまの人生と、
時代にフィットする、
理想の家・暮らしづくり。

想いを込めたのは「人生」という言葉です。当社が提供するのは、お客さまの人生に寄り添うものと考え、時間軸の概念を取り入れました。

住まいは一度きりではなく、ライフスタイルや家族構成によって変化を余儀なくされるものです。その変化は家族からだけでなく、外的な要因で変化を余儀なくされることもあります。当時、社会はコロナ禍で、住宅に対して全く新しいニーズが発生し、ステイホームや衛生環境など暮らし方の変化に直面していました。内外の様々な変化にフィットする住まいや暮らしに価値を求めたのです。
ビジョンは「企業が目指すありたい姿」とされており、中長期的には変わることもあります。自社で検討される際には「どんな状態になれば自社が社会に存在する価値が認められるのか?」を考え、今行っている事業の提供価値を洗い出して制定しましょう。

◇コアバリュー
社会やお客様の“最善”を、「厳選」し、「かたち」にする力。

コアバリューは社員の日常の業務に誇りを持つための、重要なワードの位置づけです。
ここでは“最善”というワードを使っています。
社会やお客様に最善を提供するためにはお客様の暮らしや想い、マーケットを理解する必要があります。「最高」は誰にでも提供することが出来ますが、「最善」はその分野に精通している専門家でないと提供することが出来ません。
「厳選」という言葉にも深い意味を込めています。
これまで社内では「目利き」あるいは「目利き力」と表現することが多かったのですが、この言い方には商売や損得の雰囲気を感じてしまいます。
お客様の人生に寄り添って、専門家として立地も建物も厳しく選ぶことこそ私たちの価値なのです。そうしてたくさんの幸せを提供することが誇りとなるのです。
制定するためには「自社の事業戦略における強み」を確認し、他社と異なる自社の戦略を言葉にしなければなりません。自社の戦略と結びつきの強いコアバリューを発見することが出来れば、その実現に向けて組織の一体感が醸成されるはずです。

策定には「志」が大事~飯田商店のオーナー~

神奈川県足柄下郡湯河原町に“ラーメンの聖地”と噂の名店「らぁ麺屋・飯田商店」があります。この名店の経営者である飯田将太氏が、過去にワイドショーにご出演されているのを拝見し感服したことがあります。
番組では飯田氏が修行から起業、有名ラーメン店になるまでのご苦労などを数々のエピソードを交えて紹介されていました。
最後にレポーターの方が飯田氏に「これからの夢はありますか」と問われた時の話で飯田氏は躊躇なく「世界進出です」と答えました。
「さすが成功者は大きな夢を持っているな」と思いましたが、その後に続く言葉にさらに感心させられました。
飯田氏は「世界に進出して世界中のお腹を空かしている子供たちに本当に美味いラーメンを食べさせてあげたいのです。それが出来れば全財産を失ってもいいと思っています」と続けたのです。
とても素晴らしい志だと思います。
私は25年も住宅業界にいながら、これまでそんなことを考えたことは無かったです。
世界はおろか日本にも住宅で困っている方はたくさんおられるのにも関わらず、まったく考えが至りませんでした。高い志を持って仕事をすれば、そのような考えになるのでしょう。
社員にもそんな志を持って仕事に臨んでくれるように、想いを込めて企業理念、ビジョン・バリューを策定しました。
皆さんも策定するにあたっては、そのような想いを込めてもらえればと思います。

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感即動~感じたら即行動! ビジネスにスピード違反なし~

ビジネスの成功要因は数多く在りますが、その成功要因で大きなウエイトを占めるのはスピードであると私は考えます。
当社の行動規範には「常にスピードを意識し、動きながら考えよう」とあり、創業から4年、圧倒的なスピードで成長できた背景には全社員がスピードを意識して仕事をしてきたから、というものがあります。
会社やチームのスピード感を常に感じてマネジメント出来ているリーダーは果たしてどれだけいるでしょうか?
またあなた自身、スピードある仕事が出来ているでしょうか?
スピードを上げるにはいくつかのポイントがあります。

感即動「感じたら即行動」

「感動」という言葉が論語の『感即動』に由来しているそうです。
私は藤原からこの言葉を聞くまで知らなかったのですが、この言葉は複数の意味があるそうです。

  1. 感じたら、すぐに動く
  2. 感じさせることで、人は動く
  3. 感じ方を変えれば即、行動が変わる

これまで紹介した通り、当社では落ちこぼれを作らず、湧き上がる組織を創るために、社員を囲い込みます。
落ちこぼれそうな社員の本質に近づき、感性に訴えかけるコミュニケーションを取ります。
そのコミュニケーションで湧き上がる何かを感じ取った社員達は、即行動に移してもらいたいのです。
「そうだな、明日から頑張ろう」
「来週は必ず」
「感じたけど、何もしない」
は許さないのです。

即行動すれば即結果が出ます。
いつまでも行動を変えなければ、結果が変わることはありません。
感じさせることと行動させることは常に一対である必要があるのです。
社員に対しては「感じたらすぐ行動すること」、リーダーには「メンバーに感じさせることで、人は動く」ことを意識してもらいます。

また、感じ方を変えるですが、起きた事象の捉え方を変えるということです。
リーダーに置き換えると、メンバーの捉え方を変えさせるということになります。
心理学にABC理論と呼ばれる理論があります。
アメリカの臨床心理学者であるアルバート・エリスが1955年に提唱した理論で「出来事(Activatingevents)をどのように受け取るか(思考・信念・考え方=Belief)によって結論(感情・行動=Consequences)が決まる、というものです。

人間は起きた事象によって様々な感情を感じる訳ですが、捉え方によって感じ方は大きく異なります。
事象が感情をつくるのではなく、捉え方が感情をつくります。
営業の世界でいえば、業務の成果は事象です。
例えば今月の目標が達成できなかった、あるいは達成したのかは事象ですが、受け取り方によって感情は変わってきます。
目標が達成できなかったとしても、営業活動の中でこれまで出来なかったことが出来るようになり、新たな人脈が広がるなどしたときに、結果に捉われず前向きに自分の成長を実感出来れば、感情の状態も変わってくるはずです。

目標は達成したとしても、人に迷惑を掛けることで信頼を失ったりすれば、その感情は嬉しい達成感では無くなってしまいます。
リーダーはメンバーの価値観だけでは感じることの出来ない捉え方に気づかせることで、メンバーの感情や行動を変えることが出来ると意識してください。
事象のみに左右されない感じ方をリーダーもメンバーも身につけることで、仕事の捉え方も変わってきます。

完璧よりも実行することが重要である「Done is better than perfect.」

FACEBOOK(現Meta)の創業者であるマーク・ザッカーバーグの有名な言葉に次のようなものがあります。
《Done is better than perfect.》(完璧よりも実行することが重要である)
Facebookをより良いものにするには、最初から完璧を目指して開発するのではなく、設計・開発・テスト・改善のサイクルを短期間で繰り返し、少しずつ、素早く良いものにしていく考えに基づくものです。
特に変化の速いIT業界では大切な考え方で、Facebookの急成長の背景であると思います。
当社の行動規範は「常にスピードを意識し、動きながら考えよう」としていますが、「動きながら考えよう」に、このスピード感を求めています。
創業して間もない頃は、考えないといけないことが山積みでしたが、一つひとつ止まって考えていては業務が前に進みません。
生煮えでもとにかくやってみて、変える必要があれば、変えながら考えるということに取組んできました。
そのスピード感が企業の成長には必要です。

同じくIT業界のスピードに関する言葉で「爆速経営」という言葉があります。
これは元ヤフー株式会社代表取締役社長・宮坂学氏(現・東京都副都知事)が2012年頃から、経営改革のスローガンとしてお使いになった言葉です。
爆速という言葉で社内の閉塞感を打破し、爆速の意思決定で経営の改革を実現されました。
やはり経営にはスピードが大事なのだなと感じさせる言葉です。
既に当社の朝礼についてはお話ししましたが、私にも一分間のコメントが月に一度程度回ってきます。
私はいつも言うことが決まっていて、業務のスピードについて全社員に話をします。
切り口は毎月様々ですが、必ず「ビジネスにスピード違反無し」としてから、その時節にあったスピードのある業務や経営について、社員に話をします。
このくだりは定着をしていて、社員は私とのやりとりは特にスピードを意識して取組んでくれているようです。

感即動も爆速経営も、共通するのは「スピード」です。
全社員がスピード感を持って業務に当たれるようにすれば、おのずと事業のスピードが上がります。
皆さんにもスピード感ある経営を実践していただきたいと思います。